自画像に悩む(6)

峯野龍弘牧師

Ⅱ.如何にしたら「自画像」を愛せるのか

2.世俗の価値観からの脱皮

さて、自画像を愛するための第2番目に大切な点は何でしょうか。それは私たちお互いを縛り、支配している世俗的価値観から脱皮することです。換言すれば長い間各人の心の中心で王座を占め、お互いの人生の価値基準となってきた世俗の価値観を、キリストにある真の聖い価値観をもって置き換えてしまうことです。その時、先に世俗の価値観の弊害について述べてきたように、それらの弊害から完全に解放されて、お互いの自画像をありのまま受け入れて、羞恥心や自己卑下によって抑しつぶされることもなく、それに代えて、主にあって生まれながらに付与されている掛け替えのない自己の尊厳を直視することが出来るようになり、平安と喜びと感謝を持って、自画像を愛することが出来るようになるのです。

では如何にしたらこの世俗の価値観から脱皮し、その支配から完全に脱却することが出来るのでしょうか。その道は、明白です。

a. 如何に世俗の価値観が災いであるかを深く悟って、速やかにこの世俗の価値観から完全に脱却したいと切願すること、またその脱出を決意すること。

b. その世俗の価値観に支配されてきた自分自身の罪と汚れをことごとく悔い改め、その全身、全霊、全生涯をキリストに献げてしまい、今から後、傷害の終わりまで真の永遠不変の絶対価値基準を持っておられるキリストに、一切をお委ねしてしまうこと。

c. その時、聖霊はお互いの霊と心と体を完全に御掌握下さり、お互いのうちに住み、一切の世俗の価値観を追放し、それに代えてその全存在を聖別し、神の栄光とすべての人々の祝福のために生きるものに造り変えて下さる。

これはお互い人間の知恵や力によるものではなく、万事は主の御愛と恵みと力によるもので、まさに上記の如く主に全く聴従するすべてのもののうちに成就する主の大いなる約束です。何と幸いなことでしょう。

かくしてお互いは自画像を愛することが出来るようになるのです。ハレルヤ!

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 峯野龍弘(みねの・たつひろ)

 1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

 この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

 主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。